末梢神経の構造・機能とは?~生理的機能、機械的機能、神経の支配神経について解説~

理学療法

こんにちは、だいもんです

整形外科で働いていいると必ず遭遇する症状としてしびれ、だるさ、力が入らないなどがあります。これらは単純に骨・関節・筋を考えて理学療法を提供しても効果がいまいちと私個人は感じていました。

そこで今まであまり注目していなかった神経のことを学んでいくと少しずつ、症状が改善していく患者が増えてきました。そこで今回は神経の基本的なことをブログに載せます

治療としては骨・関節・筋を重要視していた時とは極端に変わりはありません

ですが神経を学ぶことで、症状を理解しその時の自分自身ができる最適な治療を提供できるようにはなると思います

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    末梢神経の生理的機能

    • 電位発生し活動電位発生

    軸索の表面は神経細胞の細胞膜であり、膜電位を有している。この膜電位が存在することで活動電位を軸索の先端または神経細胞体に向かって伝導することができる

                                            機能障害科学入門より 
    • 神経伝達物質の移送 シナプスでの情報伝達

    軸索の先端は「シナプス」という特殊な構造となっている。

    軸索から活動電位がシナプスまで伝わると、神経伝達物質を包んでいるシナプス小胞が細胞膜まで移動し、シナプス表面に向かって神経伝達物質を放出する。そして拡散した神経伝達物質が相手側の細胞に存在する受容体に結合することで刺激が伝達される

                                            機能障害科学入門より

    各神経の標的器官はこんな感じです

    • 運動神経→筋細胞
    • 自律神経→内臓・血管細胞
    • 末梢組織→感覚・自律神経→後根神経節(背根神経節)→脊髄後角→脳
    • 軸索輸送 神経自体の栄養補給

    神経線維そのものの機能を維持するうえで必要な様々な物質を輸送する役割をもつ。軸索内部にはミトコンドリア、脂質、ニューロフィラメント、微小管、細胞小器官が存在するも、たんぱく質の生産の場であるリボソームは存在しない。

    たんぱく質は神経細胞体から輸送してくる必要がある

                                            機能障害科学入門より

    神経自体が圧迫・断裂されると、神経自体に栄養がいかなくなり神経細胞が死んでしまいます

    末梢神経の構造

    末梢神経の構成要素

    ①軸索(伝導組織) *軸索は神経線維とも言う

    ②神経外膜、周膜、内膜など(結合組織)で構成される

    加えて

    「神経束」とは神経周膜によって囲まれた神経線維群

    「神経幹」とは神経外膜によっていくつかの神経束をしている。軸索周囲の結合組織が集合したもののことを指します

    末梢神経の機械的機能

    生理的機能を維持するために、機械的機能が重要な役割をはたします

    ①伸張

    末梢神経自体にもともと「たるみ」があり伸張されても対応できる構造になっています

    伸張に対しては神経周膜が最も抵抗するといわれています

    ②滑走 長軸

    神経の滑走により組織の伸張が始まった部位に神経を移動させ(貸し出し)、緊張勾配低下させることができる。このようにして神経系の緊張が均等に分散され、特定の部位の緊張が高まらないようにする

                                   クリニカルニューロダイナミクス p5

    ②滑走 横断

    神経の緊張と圧を消散するために重要な機能

    緊張が加わったときに2点間の最短距離を走行するための機能

    神経が腱、筋のような隣接組織による側方圧迫を受けるときに起こる

                                    クリニカルニューロダイナミクス p5

    ③圧迫

    神経組織は加えられた力に対して多くの方法で変形する。

    圧迫に対しては神経外膜が緩衝材として働く。神経にスポンジのような性質を与え、圧迫が除かれたときに神経がバネのようにもとに戻ることができる

                                    クリニカルニューロダイナミクス p5
    • 機械的機能が働くことで神経が身体運動に適応している

    この機械的機能の異常で症状が出現している方は多数います

    筋・骨・関節などと末梢神経の位置関係の理解、関節軸に対する神経の位置、症状誘発される動作の際の神経にかかる圧迫伸張はどうかなどを臨床では重要視しています

    末梢神経の流れ 細胞体から標的器官へ

    運動神経・感覚神経・自律神経は末梢神経へ収束され、各標的器官へ軸索を伸ばす

    運動神経・感覚神経・自律神経のそれぞれの細胞体は異なる

    運動神経は脊髄前角に細胞体を持ち、標的器官は筋

    感覚神経は後根神経節に細胞体を持ち、標的器官は末梢組織

    感覚神経は求心性に情報伝達をするので末梢組織(筋、骨、関節、靭帯、皮膚など)から感覚神経を通って後根神経節に接続する

    自律神経は交感神経、副交感神経に分かれる。また遠心路と求心路がある。

    交感神経は第一胸髄~第三腰髄の脊髄側角に細胞体を持ち、節前ニューロンとして 交感神経節(椎傍神経節、椎前神経節などの総称)へ接合し、その後節後ニューロンとして各標的器官へ接続する。

    副交感神経は脳幹、仙髄に細胞体を持ち節前ニューロンとして標的器官近くの神経節で接続し、その後節後ニューロンとして各標的器官へ接続する

    自律神経遠心路

    求心路の場合、各器官からの情報が後根神経節まで送られる

    自律神経求心路

    神経の支配神経について

    神経の結合組織を支配する神経のことを神経幹神経といいます

    神経が圧迫や伸張による断裂や慢性的な虚血状態などの侵害刺激を受けているとき

    神経幹神経が感知する仕組みになっています

    まとめ

    機械的機能については下記の参考図書に詳細があります

    機械的機能異常を評価するには解剖学的知識が必須となり、必要とされるのは触診・立体的な筋骨格神経の位置関係の把握になると思います

    それに加えて神経系の生理学的知識が合わせて重要となります

    長い理学療法士としての人生、急がず少しずつ自己研鑽を継続していきましょう

    参考図書の紹介





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