ヒトの脳や脊髄には介在ニューロンというニューロン(神経)が存在します。これについて解説します。介在ニューロンを理解することで人の運動、筋肉の活動がどのように調節されているのかが少し理解しやすくなります
介在ニューロンの役割
そもそも「介在」とは、ふたつのものの間に挟まってあること。両者の間に存在すること。
なので介在ニューロンは「ふたつのものの間にはさまってあるニューロン」「両者の間に存在するニューロン」となります。
ここでいう「ふたつのもの」や「両者」とは運動ニューロン、感覚ニューロン、上位中枢からのニューロンなどの事を指します。介在ニューロンの場合は2つ以上のニューロンがシナプスするのが特徴で、シナプスした情報をまとめるのが介在ニューロンの役割だと考えてられます。
介在ニューロンってなに?どこにあるの?
ニューロンは運動ニューロン、感覚ニューロン、介在ニューロンの3種類で、この中で最も多いのが介在ニューロン。
1000億以上のニューロンのうち、500万は感覚ニューロン、数10万は運動ニューロン、残りは介在ニューロンである
ヒトの動きの神経科学 p9
介在ニューロンは脊髄と脳にあります。脊髄にある介在ニューロンは反射経路に関与します。
介在ニューロンは脊髄反射と深く関係する
脊髄反射のひとつである伸張反射では、Ⅰa線維が直接α運動ニューロンに接続して同名筋に対して収縮を促します。これに加えてⅠa線維は抑制性Ⅰa介在ニューロンともシナプス結合します。この抑制性Ⅰa介在ニューロンは拮抗筋のα運動ニューロンとシナプス結合して(脱興奮)拮抗筋の収縮抑制に働きます。
また、Ⅰb抑制(自原性抑制)にも介在ニューロンは関与します。Ⅰb求心性線維がⅠb抑制性介在ニューロンとシナプス結合します。Ⅰb抑制性介在ニューロンは同名筋のα運動ニューロンとシナプス結合(脱興奮)して、収縮抑制に働きます。加えてⅠb求心性線維は介在ニューロンとシナプス結合し、そこから拮抗筋のα運動ニューロンに興奮性に作用してが拮抗筋の筋収縮を促します。
介在ニューロンとシナプスするのは感覚線維だけではない
上記の説明以外のように、Ⅰa線維やⅠb線などの感覚神経は介在ニューロンとシナプス結合します。それに加えて上位中枢からも介在ニューロンとシナプスする神経路があります。具体的には前庭脊髄路、皮質脊髄路、赤核脊髄路などです
これら上位中枢からの神経路も感覚神経と一緒に介在ニューロンに加わり、α運動ニューロンに対して興奮性か?抑制性か?どちらの情報を伝達するか決めています。
加えて介在ニューロンとシナプスせずにα運動ニューロンとシナプス結合する神経路もあります。代表的なのが、前庭脊髄路で下肢伸筋に単シナプス結合します。その他にも介在ニューロンとシナプス結合しない神経路は存在します。
介在ニューロンと投射ニューロンの違い
介在ニューロン(局所ニューロン)は主に抑制性で、樹状突起の分枝は少なく分布範囲も狭く、その軸索出力も近隣の領域に限定される。
脳・神経科学入門講座 参照
脊髄だと同じ神経節内、脳だと同じ神経群などの範囲内のこと。
投射ニューロンは莫大な数の興奮性及び抑制性入力を受け、その情報を処理・統合し、長い軸索を介して遠隔地へと出力結果を送り出す。
脳・神経科学入門講座 参照
感覚神経から脳や脳から運動神経などは投射ニューロンの例です。
また、介在ニューロンと投射ニューロンは細胞体の大きさ、樹状突起の発達度や形態、神経伝達物質などの細胞化学的特性などにおいても異なっています。
まとめ
介在ニューロンには様々なニューロンが結合するのがとても重要です。結合した結果筋収縮が発生したり、抑制されたりします。なのでこの介在ニューロンに対して治療やトレーニングしているようなものです。
介在ニューロンに対してシナプス結合するニューロンは何に対して反応するのか?感覚ニューロンだと表在感覚・深部感覚、前庭脊髄路だと加速度や頭部の回旋など三半規管への刺激、皮質脊髄路だと運動野の興奮がきっかけで運動野の興奮させるには・・・などと色々考えることができます。
参考図書
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