こんにちわ、だいもんです
今日は靭帯の機能について臨床で重要になってくるポイントを紹介します
これを読むことで関節運動の理解が変わり、徒手介入・運動療法の参考になれば幸いです
靭帯は関節運動を制動・安定化
ある一定の範囲での関節運動は許すが、関節面の関係を破綻させるような生理的範囲を超える運動は阻止する
機能障害科学入門p92~より 靭帯の機能について
要は、動き過ぎないように制動する役割
私自身、恥ずかしながら靭帯の機能はこれくらいしか考えていませんでした
しかし、これから紹介する以下の二つの機能も非常に重要です
靭帯の張力により関節運動を引き起こす
靭帯の張力が骨に伝わり、骨の動きを誘導します
具体例でいうと
- 膝関節の終末伸展回旋
膝関節のロッキングには約10度の外旋が必要である。これには大腿骨内側顆の形状、前十字靭帯の緊張、大腿四頭筋の外側への牽引の3つの因子で生じる。
筋骨格系のキネシオロジーp467
膝伸展で靭帯が引き延ばされる=張力が発生する
張力が下腿に伝わる→下腿外旋 という感じです
前十字靭帯損傷、変形性膝関節症の方は
伸展最終域での靭帯の機能が破綻している可能性があります
- 肩関節外転での鎖骨後方回旋
肩関節外転の開始時、肩甲骨は肩鎖関節で上方回旋を開始するが、このとき堅い烏口鎖骨靭帯をかなりの程度伸長する。Inmanによると、伸長された靭帯内に発生する張力は鎖骨長軸の後方にあたる点である鎖骨の円錐靭帯結節部分に伝達される。この力が加わることによって鎖骨が後方回旋する。この回旋は烏口鎖骨靭帯の鎖骨付着部をより烏口突起の方へ引き寄せ、靭帯に発生した緊張負荷をかなりの程度で減少させる
筋骨格系のキネシオロジーp126
円錐靭帯の張力が鎖骨に伝達されないと
鎖骨の後方回旋が生じず、挙上動作の際に肩甲上腕関節に負担がかかると考えられます
靭帯が感覚器として作用
膝関節前十字靭帯にはルフィニ、パチニ、ゴルジ腱器官などメカノレセプターが存在する。膝関節の運動覚、位置覚を感知している
機能障害科学入門p92~より 靭帯の機能について
前十字靭帯のメカノレセプターからのフィードバックがハムストリングの筋収縮に影響を与えているACL-hamstrings reflexの証明により,膝関節固有感覚は神経筋協調作用においてハムストリングが過度の脛骨前方移動を防止するための膝周囲筋の筋制御を行い,膝関節の動的安定性に深く関与する
津田英一,福田道隆,原田征行.ヒト膝前十字靱帯刺激がハムスト
リング筋活動に及ぼす影響-膝前十字靱帯-ハムストリング反射の直接的証明 東京膝関節学会誌
靭帯に対する伸張刺激が体性感覚のひとつとして、感覚入力となり中枢神経系に情報伝達されます
- 過度に伸ばされて損傷したら感覚入力は入らず
- 関節不動で靭帯に対する伸張刺激が欠如しても感覚入力は入りません
生理的範囲内で伸張されて、初めて感覚器として作用すると考えられます
その他部位の靭帯も詳細に研究はされていない部位もあるが、神経終末の分布は確認されています
参考文献
烏口肩峰靭帯の神経終末https://magikun-reha.com/wp-content/uploads/2020/09/烏-口肩峰靭帯における神経終末の観察.pdf
烏口上腕靭帯の神経終末https://magikun-reha.com/wp-content/uploads/2020/09/烏口上腕靭帯及び周辺組織の解剖学的特徴と神経分布.pdf
ハムストリングス反射https://magikun-reha.com/wp-content/uploads/2020/09/ハムストリング機能に着目した膝関節固有感覚評価法の検討.pdf
靭帯の機能不全があるとき
- 関節の不安定化
- 関節運動の異常
- 深部感覚の低下 これに伴い
- バランス能力低下
- 協調運動障害
- 筋出力の遅延などなど
靭帯や関節包が緩むと、関節運動の抑制には筋がより優位な役割をはたす。しかし、靭帯と比べて筋は電気力学遅延(電気刺激を受け収縮開始までの時間)のため張力発生が遅れ十分な力を与えることができない。
筋骨格系のキネシオロジー p35
結局は、靭帯機能を筋機能だけで完全に補うことは困難ということ
ただ臨床上、靭帯の機能・走行を考慮して筋機能に対して運動療法を実施することで
一定の効果も得られている印象はあります
反射的な反応には筋機能のみでは対応困難ですが
速さを求められないのであれば、筋機能でも十分対応可能かもしてません
まとめ
3つの機能について紹介しました。個人的に重要だと感じているのは
「靭帯の張力により関節運動を引き起こす」
「靭帯が感覚器として作用する」
この2つです
人の動きは筋肉だけで動いているわけではなく、関節の形状や靭帯の伸縮がうまく働くことで効率のよい動きとなります。
次回は実際に靭帯の機能不全に対して介入するポイントを紹介したいと思います
ブログを読んでいただきありがとうございました。
参考図書を載せておくので気になる方はチェックしてみて下さい
コメント