医療面接・問診の目的や注意点などについて理学療法士が解説。  ~自分を振り返り、相手を知る~

理学療法

病院で必ず実施される医療面接。医療職の人は当たり前に毎日行っているが、その意味や役割などを改めて考えてみたい。私は理学療法士なので医師が初回診察の時に実施される医療面接とはやや異なるが意味合いは同じです

これをきっかけに「患者に寄り添うとはどういうことか?」を考えるきっかけになると思います

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    医療面接・問診の前に知っておきたいこと。よい医療者患者関係とは?

    よい医療者患者関係を構築するための必須条件として、Rosenさんが挙げている3つの項目がありますそれは「受容」、「共感」、「臨床能力」です

    受容

    医療職によって受け入れられることで、患者自身が私はここにいていいんだとリラックスすることができる。病院というのは慣れない場所であり、不安な気持ちになるのは当たり前。そんな場所をまずは安心する場所、空間にするために患者を受け入れることは非常に大切です。

    共感

    患者は耐え忍ぶ者であり患者が表現するのは「苦しい」、「痛い」などが多い。これらは事実としての症状だけではなく、そこに伴う「苦しみ」を訴えている。1人の人間として苦しむ人に寄り添い、耳を傾けることで初めて共感が生じる。

    臨床能力

    臨床能力には3つの要素がある。知識、技術、態度がある。

    医療面接を通して必要な検査項目や治療内容を組み立てるための「知識」。

    実際に検査測定や治療を実施する「技術」

    検査測定や治療の結果を丁寧に説明する。患者に安心、納得してもらうための「態度」

    これらを前提として医療面接は成り立ち、医療面接そのものの効果を発揮します


    医療面接・問診の目的は?

    良好な医療職患者関係の構築

    信頼関係の構築(ラポール形成)のためにも受容、共感の姿勢を大事にして話を聞く

    患者から必要な情報を聞き出す。いわゆる病歴聴取

    問診によって診断や検査に必要な情報を聞き出す。

    患者に対して説明や教育を行う

    実施した検査結果を説明し納得、安心してもらい、必要があれば検査結果を受けてまた患者の気持ちを傾聴する必要もある


    医療面接・問診に影響を与えるのさまざま

    場所、時間

    • 時間通りに開始されるか
    • 院内は清潔?整理整頓されている?
    • プライバシーが保たれるような診察室、リハビリ室の構造になっている?
    • 騒さわがしい空間になっていない?

    服装、身だしなみ

    • 白衣の汚れ
    • ボタンのかけ間違い
    • 髪型に清潔感はある?
    • 爪は伸びっていない?

    姿勢、立ち位置

    • 患者に対してどこに座っている?
    • どれくらい距離をとっている?

    視線

    • 相手の目を見て話している?
    • メモばかりとっていない?

    身体言語

    • 癖で行っていることはないか?
    • 手の位置はどうなっているか?

    自分の癖を知る、見つめなおすことで相手からどう見られているのかを認識することができます。コミュニケーションは言語的・非言語的があると言われ、実は非言語的コミュニケーションの方が相手に様々な印象を与えやすいと言われています。

    ここで言う非言語的コミュニケーションとは、話す速さ、大きさ、話す間、ボディーランゲージ、目線、手の位置、姿勢、距離感などなどです。

    できれば自分ひとりではなく、周囲の人を巻き込んで自分をフィードバックするのがよいと思います。

    医療面接・問診を通して相手のことを知ろう

    解釈モデル

    医療面接・問診でよく活用されているのが、「解釈モデル」です

    解釈:自分の病気についてどう考えるか?
        聞き方例/~について何か心当たりはあるか?診断されてどう感じた?
    期待:医療者に何をしてほしいのか?
        聞き方例/受診のきっかけは?
    感情:患ってどう感じたのか?
        聞き方例/何か心配な事はあるか?
    影響:患って生活にどんな影響があるのか?
        聞き方例/ ~~のせいでADL上の障害、問題はあるか?

    患者が病気に罹患したり、体調不良を覚えた時に一人の人間として受け取る様々な影響のこと。その人となりの病気の捉え方が理解できると言われています。

    行動変容の確認

    *厚生労働省 eヘルスネット参照

    1980年代前半に禁煙の研究から導かれたモデルですが、その後食事や運動をはじめ、いろいろな健康に関する行動について幅広く研究と実践が進められています。

    相手が自身の問題に対する行動としてどの段階・ステージにいるのかを判断します。そのステージごとでサポートの仕方が異なってくるというものです。

    参考サイト 研修医イマイチ先生の成長日誌 行動科学で学ぶメディカルインタビュー

    対象者をよく観察する 

    先ほどは自分自身の身のふるまいの話でしたが、今回は相手を知るためにはよく観察する必要があります。例えば、初対面の人と話す時どんなことを確認していますか?

    おそらく、話の内容だけでなく非言語的なコミュニケーションの方が与える印象が大きいと思います。相手の目線、相手の体の向き、相手の話す速さ、相手のしぐさなどです。

    こちらに共感を求めているのか?こちらのことを信頼してくれているのか?まだ疑心暗鬼になっているのか?

    言葉にはしませんが、態度として体に現れることが多いので、この点も医療面接・問診を通して得ることのできる重要な情報です。

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