運動時の循環調節について~骨格筋への作用である局所性調節について解説~

運動・健康

人は安静時・運動時ともに循環調節しながら活動しています。循環調節することで運動に必要なエネルギーを骨格筋に送ることができます。

つまり、循環調節できないと運動・活動・生命維持はできないのです

運動指導の際、どのような体の反応を期待していますか?

この循環調節には3つ種類があります。それぞれ異なった刺激をもとに調節反応が起こります。これを理解して運動指導を工夫することで、目的とした体の反応を引き出すことができるかもしれません

今回は循環調節にかかわっている3つの要因について解説していきます。

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    3つの循環調節

    全身の循環は局所性・神経性・液性(ホルモン)によって調節されることで維持されています。

    人は活動状態に応じて神経性・液性調節を必要とします。それぞれの特徴は以下の通りです。

    局所性調節とは
    • 安静時に働ていている
    • 心筋・血管平滑筋の収縮性(筋原性反応*)や組織の代謝産物によって調節される最も基本的な調節である。

    *血管平滑筋が受動的に伸展されて収縮反応を示すこと。血圧上昇時に血管を収縮させ、血圧低下時に血管拡張させて血液量を一定に保つ。血流の自己調節と呼び、主に腎循環で見られる

    神経性調節とは

    短時間(秒単位)で作動する調節

    例)心拍出量増加により頸動脈弓・大動脈の圧受容器が刺激され、情報が呼吸中枢(延髄孤束核)へ入り、心拍出量低下へ作用する(交感神経活動抑制、副交感神経活動亢進)

    液性調節とは

    中期~長期(分単位~時間および日単位)にわたって作動する

    例)心房圧上昇により心房筋に貯留している心房性Na利尿ペプチドが放出され、腎臓へ作用し利尿促進する

    まずは、局所性の調節を具体的に見ていきましょう

    運動時の局所性調節

    運動時には、継続して力を発揮するため大量なエネルギーが必要となります。そのため骨格筋への血流量が増加します。

    局所性調節では運動時の活動筋の血管を拡張させて血流量を増加させています。 

    血管拡張は以下3つの因子が存在します。

    血管拡張因子①

    代謝産物が交感神経由来である血管収縮神経に作用し、NA放出抑制・α受容体の感受性低下に作用し血管収縮低下(=拡張)

                                          *優しい自律神経生理学p117より引用
    血管拡張因子②

    代謝産物(K+、アデノシン、乳酸、二酸化炭素など)や血管拡張ホルモン(アセチルコリン、β受容体に作用するアドレナリン)の分泌が増加し、血管拡張へ

                                          *優しい自律神経生理学p117より引用
    血管拡張因子③

    血管拡張作用があるNO(一酸化窒素)が分泌される          

    ①NOは血管内のずり応力(シェアストレス)によって内皮細胞から分泌される

    ②内皮細胞にアセチルコリン、ATP、ブラジキニン、ヒスタミン、サブスタンスPなどのアゴニスト(受容体に結合して作用をもたらすもの)が作用するとNOが放出され、収縮が抑制される                     

    *運動時のNOの関与に関しては今だ議論されている内容のようです

                                            *生理学テキストP308より引用

    局所性の調節ではこれらによって血流量を増加させることで、継続して骨格筋を収縮させることが可能となっています

    代謝産物の発生と応用

    こう見てみると代謝産物って悪い印象ではなく、運動を継続するために血流を確保してくれついいやつって感じですね

    ではこの代謝産物はどのようにして発生するのか?

    ずばり、無酸素性運動です。細かく言うとATP-Cr系と解糖系です。いわゆる筋トレです

    これらのエネルギー供給機構を使った運動をすれば代謝物質が発生し血流が増加します

    血流が増加すると・・・・・

    体温上昇、疲れにくくなる、凝りにくくなるなどなど様々ないいことがあります

    ちなみに、マッサージを受けて肩のこり・首のコリが取れるのは、過剰にたまった代謝物質が流れたためです。加えてマッサージが単純に気持ちい・リラックス効果などもあり気分もよくなるのでコリは軽くなるわけです。

    過剰に代謝物質が溜まる理由は、座りっぱなし・立ちっぱなしなど動きが止まっている(止まった運動という捉え方もあります)ことが原因であることが多いです。

    なのでマッサージを受けに行けない場合はコリがある部位に対して筋トレをしてあげるとコリは解消されることもあります。加えてコリが過剰な場合はまずは全身運動のウォーキング、ジョギングなどで全身の循環を良くしてから筋トレすることをおすすめします。

    次回は神経性調節・液性調節について解説します。

    参考図書



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