認知症の症状やBPSD、MCIについて解説

運動・健康

超高齢化社会の日本で医療、介護に関わる方なら一度は勉強し直しておきたい「認知症」について簡単にまとめました。医療や介護のみではなく、スポーツジムや町のカフェや飲食店など普段から高齢者と接する機会の多い人は多数いるはずです。

住まいの地域全体で無理なく支えあうためにも、まずは簡単な知識を得るとよいと思います。

主に認知症診療ガイドラインを中心にまとめています。

 

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    認知症の定義

    認知症は、脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。みんなのメンタルヘルス参照

    認知症の症状

     記憶、言語、視空間認知などの認知機能の障害(中核症状)と、それに伴う認知症の行動・心理症状(BPSD、周辺症状のこと)からなる。疾患ごとの機能低下部位を反映し、複数の認知機能に障害が認められる。BPSDは認知機能障害を基盤に、身体的要因、環境的要因、心理的要因などの影響を受けて出現する。

     認知症で障害される認知機能としては、注意、遂行機能、記憶、言語、視空間認知、高位、社会的認知などが挙げられる。

    認知症の行動・心理症状として以下のような症状がある

    活動亢進が関わる症状

    焦燥性興奮、易刺激性、脱抑制、異常行動などが含まれる。もの忘れなどを自覚し、不安、焦燥感が出現すると、いらいらして些細なことで不機嫌になる易刺激性につながる。それに周囲の不適切な対応が加わることにより、暴言・暴力などの攻撃性、焦燥性興奮へと発展することもある。異常行動には俳諧や攻撃的行動などがある。

    精神病様症状

    幻覚・妄想、夜間行動異常などが含まれる。

    感情障害が関わる症状

    不安やうつ状態はアルツハイマー型認知症では早期に認められることが多い。認知機能低下の自覚から不安、焦燥を生じ、環境的要因なども加わってうつ状態を合併することがある。

    アパシーが関わる症状

    アパシーは自発性や意欲の低下である。情緒の欠如などの感情面、不活発などの行動面、周囲への興味の欠如などの認識面に現れる。症状の類似性からうつ状態との鑑別が問題となるが、非哀感や自責感などを欠くのが特徴である。アパシーは前頭側頭葉変性症でアルツハイマー型認知症より高頻度にみられるが、アルツハイマー型認知症でもBPSDのなかでは最もよくみられる症状である。レビー小体型認知症でも過半数にアパシーが認められる。

    認知症のBPSD

    認知症の原因疾患・診断

    認知症の原因疾患は以下の通りで、多岐にわたる

    認知症診療ガイドラインCQ1-3より引用

    認知症は「獲得した複数の認知・精神機能が、意識障害によらないで日常生活や社会生活に支障をきたすほどに持続的に障害された状態」とまとめられる。

    診断には、問診や認知機能検査、身体所見、神経学的診察、画像検査、血液・脳脊髄液検査などを必要に応じて行う。以下が診断のフローチャート

    認知症と区別すべき病気

    加齢に伴う正常な認知機能の低下やうつ病やせん妄などが区別すべき疾患として挙げられる。

    生理的健忘病的健忘
    もの忘れの内容一般的な知識など自分の経験した出来事
    もの忘れの範囲体験の一部体験した全体
    進行進行・悪化なし進行していく
    日常生活支障なし支障あり
    自覚ありなし
    学習能力維持されている新しいことを覚えられない
    日時の見当識保たれている障害されている
    感情・意欲保たれている易怒性、意欲低下
    うつ病アルツハイマー型認知症
    発生様式急性緩徐で浅在性
    経過と持続比較的短期、動揺性長期、進行性
    自覚症状存在する
    (能力の低下を概嘆する)
    欠如することが多い
    (能力の低下を隠す)
    身体症状摂食障害、睡眠障害なし
    認知症診療ガイドライン参照

    軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment:MCI)

    MCIとは、認知症の診断基準は満たさず、日常生活動作は自立しており、「少し、おかしいかな?」という状態。罹患率は65歳異常の10~20%で、日本には500~600万人存在すると想定される。

    長谷川式簡易知能評価スケールやMMSEでは認知症の喜寿をみたさず、満点近くをとることも稀ではない。しかし、遅延再生障害(さくら、ねこ、電車を覚えてもらい約5分後に再度聞いてできない場合など)がある場合はMCIの可能性があり要注意である。

    スクリーニング検査として、初期認知症徴候観察リスト(OLD)が有用

    12 項目中、4 項目以上が該当した場合、認知症の疑いあり

    watchlist.pdf (kurume-dementia.com)

    軽度認知障害

    まとめ

    認知症には中核症状による認知機能低下による日常生活障害と、それに伴う心理・行動障害があります。

    認知症の診断を受けた方、受けていないが疑いがある方など状態により異なりますが、予防的観点からは日常生活の活動量の維持が非常に大切になります。生活が混乱するような過剰な活動・運動は控えた方がよいですが、定期的に体を動かし友人や家族などと社会的交流の機会を設けることが重要です。

    認知症を恐れている方はたくさんいらっしゃいますが、何か対策をしている方は中々出会いません。このブログだけでは知識や実践不足ですが、根本的な運動、食事、睡眠の重要性をアドバイスするとよいと思います。

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